刺され損ねた。

童貞の恋人が右手であるように、メンヘラの恋人もまた、右手なのである。

絶対絶望情緒

恋愛は、結婚するためにするものだとわたしはずっと思っていた。その先に別れがあり、結婚が本当はなくとも、告白するということは、受験でいう前期 合格するつもりで、恋愛ならば その先に結婚を描いて、そうして告白するものだとわたしはずっと思っていた。
そりゃ記念受験 ヤリたいだけの人もいるんだろうけれど、彼はたぶんちがう。
彼はちがった。結婚をしないたてまえとして、「わたしの親が幽霊部員ならぬ幽霊信者なこと」「わたしが毒親育ちであること」をあげた。
そして最後に、結婚を、家庭をもつのがこわいのだと、彼はそう言った。生真面目な人だ。
もしかしたら、たてまえも 本当の理由だったのかもしれないけれど、私にはたてまえに聞こえたし、たてまえとして受け入れたかった。