刺され損ねた。

童貞の恋人が右手であるように、メンヘラの恋人もまた、右手なのである。

血管熱戦トピックス

赤と青と白、目の上に腕をおくと黒い背景の中に現れる。数十年生きていてこれは血管だと思っていたがあながち間違いでもないらしい。検索していくと「血管の残像」ということが書いてあった。ほかにも、「直前に見ていたものの感覚」だったり、「圧力のかかった網膜による光の錯覚」だとか。どうでもいいけど私はこの現象がお気に入りだ。オーバードーズを嗜んだ時に広がる脳内の背景のような光景が目の裏に写り、そのチカチカは水面を進む黄色いがあがあアヒルのように気のままに流れていく。それが非常に癒されるし、水をはりアヒルを浮かべる手間も無くただ目を閉じ腕をおくだけで得られるのだから安いものである。

生きていると悩みがつのるばかりで眠れなくもなるが、眠れない時に見られるこの情景が私の宝物でもあり大切なひと時である。