刺され損ねた。

童貞の恋人が右手であるように、メンヘラの恋人もまた、右手なのである。

お砂糖天国

ばら撒いて回してくっつけて、ふわふわになる。舌で舐めればきらきらひかり、つぶすと薄くかたくなる。表も裏も、なんなら中まで真っ白で、あんなに軽いのに甘い香りを放つそれを少しちぎって口へはこぶ。色のイメージといえば、緑のものは苦い、黄色のものは酸っぱい。赤いものは甘い、桃色は香りだかい。白のものは淡白な味。そんなふうに抱いているのだけれど、これは別だ。雪より温かくって飴より柔らかい。舌に広がり柔らかくほどけていく砂糖が唾液と絡み、その甘ったるさがねじれた脳みそをびりびり刺激する。砂糖が結晶なんだからわたがしだって結晶かもね。一度、顕微鏡で見てみたい。